社会人としての経験を経た後、大学医学部への挑戦を考えることは非常に素晴らしい決断だ(と、私は考えている)。しかし、仕事の忙しさや家庭の事情を抱えながらの勉強には、現役生とは異なる困難が伴う。ここでは、社会人としての経験を生かしつつ、大学医学部合格を目指すための効果的な勉強方法についてご紹介したい。
今回の記事は、あくまでも一般的な勉強法をまとめたものです。
1. 学習計画の立て方
何をおいても、計画は大事。計画なくして成功は望めない。大人が医学部再受験をする場合、現役生とは異なる計画の立て方を工夫する必要も出てくる。まずざっと長期計画を立ててから、細かな計画を練っていくのが王道だろう。
長期計画
まず、入試日から逆算して全体の学習計画を立てる。長期的な視点で、各科目の学習範囲をどの時期にカバーするかを決める。例えば、1年間のスパンで以下のような計画を立てると良いだろう。大人はこれまでの人生経験の分もあってか、各科目の得手不得手に大きなバラつきを持っていることが多いので、科目ごとに考えるのが重要。
- 初期3ヶ月: 各科目の基礎固め
- 中期6ヶ月: 応用問題や過去問に取り組む
- 後期3ヶ月: 試験形式に慣れるための模擬試験と総復習
中期計画
1~2ヶ月ごとの目標を設定する。例えば、今月は数学の微積分を終える、来月は物理の力学を重点的に学習する、といった具体的な目標を。これにより、日々の学習がより計画に沿いやすくなる。
短期計画
1週間ごとの学習内容を具体的に計画する。例えば、今週は化学の有機化合物の問題を解く、来週は英語の長文読解に集中する、といった具合。短期計画を立てることで、日々の学習が効率的になる。ただし、大人は仕事や家庭などの都合によりどうしても学習計画どおりに時間を取れないことも多いだろう。この時に計画が総崩れになるのを防ぐために、ある程度余裕を持たせた計画づくりをしておくことがおすすめ。
2. 科目ごとの勉強法(一般事項)
数学
教科書や参考書を使って基本的な概念を理解し、問題集を解いて応用力をつける。過去問を解くことで出題傾向をつかむことも重要。数学は積み重ねが大切なので、毎日少しずつでも問題を解くことを心がけよう。
英語
英単語や熟語を覚えることから始め、文法問題を解く。リーディングやリスニングの練習も重要。社会人の経験を生かし、ビジネス英語のリーディングやリスニングを取り入れても良いだろう。社会人を経験するうち、知らず知らず英語が身についており、現役生よりもアドバンテージが取れている人も多いかもしれない。
理科(物理・化学・生物)
教科書の内容をしっかり理解し、問題集で演習を行う。実験問題やグラフの読み取りなどの応用問題にも取り組む。特に、実務経験がある場合は、関連する実例を思い出しながら学習すると理解が深まるはず。
国語(現代文・古文・漢文)
これは主に共通テスト(筆者の時は、センター試験だった)対策ということになる。文章を読む力をつけるために、過去問や模擬試験問題を解く。古文・漢文は文法と単語をしっかり覚えることが必要。日々の生活の中で新聞や書籍を読む習慣をつけると、現代文の読解力向上に役立つ。
社会(地理・歴史・公民)
これも、主に共通テスト対策。教科書の読み込みと、過去問や模擬試験問題での演習の繰り返し。
3. 効果的な勉強テクニック
アクティブ・ラーニング
単に教科書を読むだけでなく、ノートにまとめたり、他の人に教えたりすることで理解を深める。自分の言葉で説明する練習をすると、知識は定着しやすくなる。また、どの部分の知識があやふやであったかを再確認することができる。
反復学習
「エビングハウスの忘却曲線」という言葉をご存じだろうか? 人の脳は1度勉強したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れるとされている。これを踏まえると、復習のタイミングは「24時間以内」「1週間後」「1ヶ月後」が望ましいと考えられる。定期的に同じ内容を復習することで記憶は定着しやすくなる。
過去問演習
過去問を解くことで志望大学の出題傾向を把握し、時間配分の練習も行う。試験本番の形式に慣れるために、過去問は何度も解いておこう。
模擬試験の活用
定期的に模擬試験を受けることで、試験本番の雰囲気に慣れる。大手予備校の模擬試験にはぜひ参加しよう。10代の受験生たちに混じって試験に取り組む練習にもなるので、自宅ではなく、実際の会場で受けることがおすすめ。結果を分析して弱点を見つけ、改善することも重要。
4. 生活習慣の整え方 ~生活習慣の改善も受験対策の一部である~
規則正しい生活
体調管理は学習効率に直結する。健康的な食事や十分な睡眠を心がけよう。睡眠は記憶を整理し定着する上でも重要な働きを持っている。また、適度な運動も取り入れると良いだろう。
ストレス管理
適度なリラックスが学習の効率を高める。勉強の合間にリラックスする時間を作ろう。趣味や友人との時間を大切にすることが、ストレスの軽減に役立つ。
メンタルケア
長い受験生活の中では、心が折れそうになることも多いだろう。目標に向かっていかにポジティブな姿勢を持ち続けられるかが大切。時には休息を取ることも必要だ。社会人としての経験を生かし、自身にあった自己管理を行おう。
5. 効果的な教材選び
教科書と参考書
基本的な教科書をまずマスターし、その後、レベルに合った参考書で応用力をつける。信頼性の高い教材を選ぼう。学校で使われる教科書がすべてではない。予備校のテキストや、予備校講師の執筆した書籍の中にも非常に良いものがある。
問題集
基礎問題から応用問題までバランスよく取り組む。解説が充実しているものを選ぼう。冊数をこなすことを急ぐよりも、一冊の問題集を理解が深まるまで繰り返し解くことがおすすめ。
オンラインリソース
オンライン講座や動画解説なども活用することで、わからない部分を補える。現代の技術を最大限に利用することが、効率的な学習につながるだろう。
最後に
大学医学部への挑戦は非常に大変だ。しかし、社会人としての経験と知識を生かして、計画的かつ効率的に勉強を進めれば成功に近づくことができるはず。継続的な努力が重要だ。計画的に学習を進め、わからないことは早期に解決し、定期的に自分の進捗を確認して改善していこう。頑張ってください!