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自分の部屋がないという問題③ ~部屋を与えない言い訳、弟による監視~

青ねずみ

幼い頃の記憶を少しずつ綴っています。読んでくださる方の心に、何かが届くことを願って。

目次

部屋を与えない言い訳!?

小学生時代から、ずっと自分の部屋を欲しがっていたが、部屋は与えられなかった。狭い平屋であったので、しかたない話ではあったのだが、これに関して、父は
「子どもに部屋なんか与えると、親の見えないところで好き勝手なことをするので、ろくな子どもに育たない」
と話していた。子供時代の自分は、それを信じるしかなかった。部屋を与えられている同級生たちに比べ、自分は良い教育を受けているんだ(だから欲望に打ち勝たなければならない)、と。そう信じるしかなかったし、信じたかった。
あるとき、学校の家庭科で(あれは中学の家庭科で、保育の単元だったか)、「子どもに自室を与えることについてどう思うか」という小テスト課題が出た。私は、上記の父親の発言をそのまま書いて提出した。後日、返却されたものには、先生の赤ペンで「自立心を育てる、などは?」とコメントされていた。これを見て、当時の私は愕然とした。そして、「こんな小テストやるのなら、生徒対象ではなく親対象にやってよー」 と思ったものだ。

振り返って思うこと

経済的な理由により、子どもに部屋を与えられない家庭もあるだろう。我が家がそうであったと思う。しかし、我が家の場合、父の主張が悪すぎた。与えることのできない自分自身の弁護にしかなっていない。与えられないのであれば、与えられないなりに、その理由の説明や代替策の提示などが必要なのだ。

たとえば、「悪いが、うちは裕福ではないので、子どもたちそれぞれに部屋を与える余裕はない。青ねずみと弟ねずみくんには不自由を我慢してもらわないといけない。それぞれの一人の時間を大切にするように、お互いがお互いの邪魔をしないようなルールを作ろう」といった具合の。

まさに、「お互いがお互いの邪魔をしないような工夫やルール」、「ここからは侵してはいけないという境界線」が作られていなかったために、さまざまは弊害が起きていったのだった。

弟による「監視」

弟は、幼児期後半あたりから「姉を監視し、母に告げ口する」という遊びに夢中になった(他に「姉をじゃまする」という遊びもあったのだが、これは後述する)。

弟は、なにかにつけて姉の一挙手一投足をあげつらい、母親に報告した。
「ねえ、お姉さんがこんなことしてるよ」
「ねえ、お姉さん何か持ってるよ」 と。 母は母で、弟の報告を受けると、
「青!また馬鹿なことやったの!?」
「青、何持ってるの、見せなさい!」
と反応し、私に詰め寄るのだった。 弟はそれが愉快だったらしくて、これを繰り返した。そして、それは時を経るごとに増長した。

私は、常に一人で自由に行動することができずに、家の中で息苦しい思いをしていた。
自分の部屋が欲しい。一人になりたい。

振り返って思うこと

もしも自分が弟の立場だったら、本を読むなり、絵を描くなり、自分の楽しみを見つけたらそれに没入し、兄弟の監視などしている暇はなかったと思うのだ。では弟ねずみは、なぜこんなことを繰り返したのだろう? それは、他にストレスのはけ口がなかったからに違いない。弟には、こんなこと以外に気張らしの方法がなかったのだろう。私から見ると圧倒的に優遇された弟であったが、弟もまたストレスフルな生き方を強いられていたと思われる。

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この記事を書いた人

虐待サバイバー医師です。内科医兼精神科医です。医学部再受験の時のことや、自身の歩んできた道、思うことなどを書いていきたいと思っています。

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